● 「わが不老長寿法」(続)その8
岡山弁護士会弁護士  宮 本  敦 
(サポーター,元日本裁判官ネットワークメンバー) 
1 健康法の秘訣として「頑張るな」ということがある。頑張るのではなく,頭で勝負するのである。頑張ると一時的に効果があがることがあるが,続かない。「ビリーズ ブート キャンプ」なる減量法が一時期ブームになったが,結局運動が激し過ぎて続かなかった人が殆どであろう。頑張る運動は続かない。5年も10年も,生涯に亘って簡単に続く方法を発見し,体得しなければならない。続けるためにも頑張りは必要であるが,無理して頑張るのではなく,「続ける」という一点で頑張るべきである。

2 私は今,「日本で一番野菜を食べる人になる運動」に取り組んでいる。動機は甚だ簡単で,冷蔵庫でしばしば野菜が腐るので,冷蔵庫の野菜を腐らせないで,食べきることにしただけのことである。日曜日の夕方には冷蔵庫を新鮮な野菜で満たしておいて,生野菜をサラダにしてタップリ食べるほか,途中補充もするが,週末に残っている野菜は全て,野菜イタメ,肉じゃが風煮付け,みそ汁にして食べきるのである。これはとてもよい方法で,健康の維持増進には顕著な効果がある。

3 歯の健康は不老長寿の大きな要因となる。歯が健康だと食事が美味しいし,野菜をしっかり食べることができる。食事が美味しいことは人生の根本的な喜びであるし,野菜をしっかり食べることは,健康を増進する。
 最近の私の目標は「おいしいものを少し食べる」ということである。減量にもなるし,これこそ不老長寿法の悟りの境地ではないかと思う。おいしくないものを少し食べるというのであれば容易に実現できそうであるが,それでは生きている甲斐がないというものであろう。
 「おいしいものを少し食べる」という目標は,食いしん坊にとっては難題であるといえる。

4 ところで私は歯磨きが苦手で,幼い頃から虫歯だらけで,歯には(歯にも?)全く自信がない。ところが最近私は,不老長寿の理論的深化とともに,その前提として必然的に歯の健康に意欲を燃やすようになり,ひょっとすると歯磨きの免許皆伝かという状態になっている。掛かり付けの歯医者さんが,最近初めて私の歯磨きを褒めてくれたのである。そしてこのまま行けば「8020」を達成できるだろうと言われた。これは80歳で20本の自前の歯を残すという意味である。

5 私は歯を埋めたりかぶせたり,今自前で何本の歯があるかも正確に知らないのであるが,1年程前にそれまでの歯の治療が終わったとき,歯医者さんの勧めで今後も3か月に1回の割合でメディカルチェックを受けることにした。その歯医者さんは腕もよく,優しくて,よい歯科医を見つけたと思ったので,「掛かり付けの歯医者」と私が勝手に決めたのである。その後何回も歯磨きの指導を受けてきたのであるが,3か月ごとの診察日のたびに問題点を指摘されてきた。そして指導を受けるようになってから1年が経過した最新のチェックで,初めて合格点をもらったのである。歯磨きは案外面倒で,よほどの自覚がないと合格点を貰えない。また歯磨きに力が入り過ぎると,歯が摩耗することになって歯の健康を害するので,案外難しいのである。

6 そこで私は不老長寿法の一環として,歯磨き法の再検討を提案したいのである。
(1)まず治療の必要を感じない場合であっても,近くの歯科医に行き検査を受けてみる。
(2)治療が必要であれば,治療を受ける。
(3)治療が不要であったり,治療終了後,その歯科医でよいと考えるなら,その歯科医を「掛かり付けの歯科医」(ホームドクター)と決めて,3か月に1回の割合でチェックを受けることにする(不安な歯科医であれば,別に歯科医院を探す。)。
(4)おそらく治療かチェックの際に,適切な歯磨きの方法を教えてくれる筈である。私も歯科医に教えてもらったものではあるが,私の「歯磨き免許皆伝法」は以下のとおりである。

  1. 毎食後磨く。1日4回。特に朝食後と就寝前は丁寧に磨く。
  2. 柔らかい毛の歯ブラシを選ぶ。
  3. 右利きの人の場合,左手で歯ブラシを横にして持ち,右手の親指と人差し指と中指で挟むようにして持つ。
  4. 毛が殆ど曲がらない程度に,ごく軽く歯に当てる。
  5. 歯ブラシを横に動かして,1か所を約20回磨く。力を入れない。
    歯ブラシは主として横に動かし,縦に動かすことは従として行う。
  6. 歯の平面と,外側,内側を全て磨く。
  7. 例えば,下の歯の外側,平面,内側を各4分割して磨くとよい。上の歯を合わせて全部で24分割されることになり,1か所を20回磨くと,約2分で磨けることになる。
  8. その後,少しだけ縦に磨く。
  9. その後歯間ブラシを使う。歯の間隔に合わせて,太いものと細いものの2種類を買って来て,両方を使用するのがよい。
  10. 歯科医から問題があると指摘されているところは,特に注意して丁寧に磨く。


7 歯周病の最大の予防法は毎日の歯磨きである。そして歯垢は歯周病菌の塊と考えて除去することが必要である。そして歯磨きは歯周病の予防法ではあるが,多くの人に取っては,「歯周病の治療法」そのものであると考えるべきとされているようである。

8 歯ブラシと歯間ブラシは沢山購入し,どちらもあちこちに置いておく。自宅の洗面所,布団やベッドの脇,鞄の中,勤務先の机の中,車の中などに用意しておき,いつでもどこでも歯磨きができるようにしておく。歯磨き粉の使用は歯を磨滅させるので,朝食後だけでよいと思う。

9 歯周病菌は,夜歯磨きをして寝ても,朝起きたとき何億個にも増えているということである。歯周病菌は,歯槽膿漏の原因となるだけでなく,体内に入ると様々な病気の原因になるとされている。原因不明の肺炎,動脈硬化,心臓病,流産など,怖い全身疾患の原因となるというのである。
 私は,朝起きたときに3口の水(お茶)で強く歯をすすぎ,歯周病菌を洗い流すことを日課としている。

10 歯磨きは案外面倒なので手抜き勝ちになる。歯を悪くして後悔するのは愚かなことであるので,歯磨きが不老長寿法のポイントであると認識し直すと案外楽しくなる。私はよく車の運転中に歯磨きをしているので,運転中の携帯電話の使用が禁止されたのと同様に,そのうち運転中の歯磨きが禁止されるのではあるまいか。歯磨き法の免許皆伝は不老長寿法の免許皆伝にも繋がるものであるから,その方法を研究しマスターして,歯磨きが楽しくなるようにし,歯磨きの免許皆伝を目指したいものだ。そしてできれば,「10020」を目指したいものである。

(平成20年4月1日)