● わがB級グルメ道(その6)
岡山弁護士会弁護士  宮 本  敦
(サポーター,元日本裁判官ネットワークメンバー)
1 今回はゴーヤ(にが瓜)の話である。ゴーヤはかなり苦みが強く,個性的な野菜なので苦手とする人が多いに違いない。私もそのひとりである。ところがゴーヤは甚だ健康によいという話である。そうなると「健康博士」を自認する私としても,無関心なままに放置するわけにも行くまい。苦手なままに放置しておくのは,甚だもったいないと思うのである。ゴーヤは「かくしゃく超百歳」の有力な手段として活用できるのではあるまいか。

2 調べてみると,ゴーヤは顕著に健康によさそうである。これを活用しない手はないと思われる。ゴーヤには苦み成分として「モモルデシン」と「チャランチン」という成分が含まれており,血糖値とコレステロールを下げる効果があるということである。また新しく発見された植物インスリンがゴーヤに多く含まれており,安全に血糖値を安定させる優れた効果があるとされている。薬のインスリンは飲み過ぎると血糖値が低くなり過ぎる心配があるが,植物インスリンにはその心配がないというのである。またゴーヤに含まれているカリウムは血圧を下げる効果があるし,ゴーヤを食べると食欲が押さえられて減量効果があるというのである。またゴーヤに含まれる「蛋白MAP30」はガン細胞の増殖を抑えるとされている。ビタミンも繊維質も豊富である。
 纏めると,ゴーヤは血糖値と血圧を下げ,減量にも効果があるというのである。
 こうしてみると,ゴーヤを沢山食べる沖縄の人達が長寿であることが納得できようというものだ。そこで私はまず1年間,ゴーヤの実験をすることにしたのである。

3 まずゴーヤジュースの話である。ゴーヤを1本買ってきて,よく水洗いする。そして縦に切って,大き目のスプーンでワタや種を取り除く。それを切って6分の1の大きさにするのが量的によい。6分の1のゴーヤをブツ切りにして,ミキサーに入れる。

4 それに,芯を除去したブツ切りリンゴ6分の1,皮をむいたバナナ2分の1本と牛乳300CCを加えて約15秒ミックスする。牛乳が少な過ぎてミキサーが回らないこともあるので,牛乳を多少多くすることもある。これでできあがりである。牛乳が苦手な人は野菜や果物ジュースでもよい。コップ約2杯なので2人分ということであろう。

5 飲んでみるととても美味しい。まるでバナナとリンゴのジュースを飲んでいるようで,ゴーヤの苦みなどは殆ど感じない。これはお勧めである。ブルーベリーを少し加えるともっとよい。これを続けるのはとても容易なことである。費用も安価である。

6 普通はここで終わりであろう。ところがここからが私の真骨頂ともいうべく,私独自の世界に踏み込むことになる。自称「健康博士」のゆえんでもある。私はこれにオリーブオイル大匙1杯(15CC)を加えるのである。殆ど油を飲んでいる感じはせず,飲みやすい。オリーブオイルはコレステロール値を下げ,動脈硬化を防止できるという話である。私は更にこれにゴマ油を2〜3滴加えることにした。ゴマ油の香ばしい香りがほんのりと漂うのが嬉しい。ゴマに含まれるというセサミンなる抗酸化物質のコマーシャルを見て,早速私のアンテナが反応したのである。しかしゴマ油に一体セサミンがどの程度含まれているかについては,調査未了で宿題となっている。台所の調味料置き場の隅で忘れられて放置されていた古いゴマ油を探し出して捨て,新しい瓶を買ってきた。酸化していると思われるからである。この私の発案(発案部分は2分の1としておこう)にかかる「超特製ゴーヤジュース」は一体如何なる効果を発揮するのであろうか。1年後には如何なる事態となっているのか,私にも,また誰にも分からないに違いない。この「超特製ゴーヤジュース」を飲んでいると,何だか日々益々若返り,元気になっていくような気になるから不思議である。まるで「不老長寿宇宙人」になったような気分である。

7 ゴーヤとリンゴとバナナを1回分ごとに切ってラップに包んで冷凍しておく。そうすると毎朝およそ1分もあればゴーヤジュースができあがる。冷凍した材料で作るゴーヤジュースは冷たくてとても美味しい。1週間で約ゴーヤ1本を食べる計算になる。朝食は,これと野菜ジュースとヨーグルト大匙3杯だけに決めた。何だか痩せそうな気配でもある。

8 ゴーヤで,私が得意としている漬け物(麹漬け)にしてみたが,余り美味しくない。キュウリ揉み(酢の物)に,塩揉みなどしないで,そのままのゴーヤスライスを少し混ぜるのは,案外美味しい。ワカメやシラスを加えると結構美味しく,お勧めである。

9 ゴーヤチャンプルは美味しいが,今のところ月に1回程度妻に頼んで作ってもらって食べている。いずれ私の得意料理にするつもりである。

10 偶然健康雑誌で見たことから,平成22年6月の初めころから熱心にゴーヤジュースを飲むようになった。この8月中旬には年1回の恒例の人間ドックの検査を受けることになっている。血液検査の数値,特に血糖値の数値で,私のホームドクター的立場にある高校の友人である担当医師を驚かせてやりたいものだ。昨年の人間ドックから1年が経過し,3キロ痩せた。しかし人間ドックの時点ではゴーヤを始めてまだ2か月半に過ぎないことになるから,大きな効果を期待するのはまだ無理かも知れない。友人が驚くのは来年のことになりそうである。

11 ゴーヤの苗を買って来て3本栽培しているが,いかなる結果になるのだろう。ゴーヤは季節限定野菜のようであるから,秋の終わりころには,春までの数か月分のゴーヤをストックしなければならないのであろうか。ゴーヤを冷凍保存することになれば,結構量も多く,専用の冷凍庫が必要になりそうである。そんなことを妻に話すと,軽く一蹴されることは目に見えている。妻が喜んで私の提案に賛成するためには,ゴーヤによる健康効果について,冷凍庫購入の提案までに,顕著な成果を見せねばなるまい。ゴーヤのお陰で目に見えて痩せたり,血糖値も顕著に低下して正常値の低目になるというような,お伽話を実現しなければならないということであろうか。

12 私は釣りが好きである。もしも専用冷凍庫が確保できるならば,今年は山陰地方まで小鯵釣りに何度も出かけようか知らん。そして唐揚げ用に調理して,小分けして冷凍しておき,友人たちとしばしば小鯵の唐揚げパーティをやりたいものだ。以前松江に住んでいたころは,境港の沖の一文字(堤防)でウンザリするほどの小鰺を釣ったこともあったが,そういえば最近10年以上釣りをしていない。
 すぐにこんなことが思い浮かぶようでは,大幅減量など「夢の又夢」のことだと妻に一笑されそうである。

(平成22年8月)