● わがB級グルメ道(その3)
岡山弁護士会弁護士  宮 本  敦
(サポーター,元日本裁判官ネットワークメンバー)
1 「わがB級グルメ道」は,自分で料理するものと,外食するものの2本建てである。いずれにしても,「安くておいしいものを少し食べる」という内容であり,そのことにより,健康増進や不老長寿に役立つとともに,人生を豊かで楽しいものとすることに役立つものでなければならない。
  自分で料理するものとして,「ザルソバ」と「ソーメン」のことは既に書いた。現在「ウドン」を研究しているが,なかなか毎日でも食べたいというような「やみつき」の味にはならず,苦戦している。外食部門としては「ラーメン」で,これも既に書いた。

2 今回は外食部門の話で,「にぎり寿司」の話である。私は「にぎり寿司」が好きである。健康にもよい。しかし回転寿司には時々行くが,本格的な寿司屋には余り行かない。高い店には行かないことにしているのである。しかし案外安くて美味しい寿司屋があって,私のお気に入りの店となっている。安いとは言っても,飲酒するし,「特上にぎり寿司」の他にサシミや細巻きなどを頼むので,2人分で1万円を少し超えることになる。だからそう度々行くわけではないが,なんとか口実を見つけて,そこに行こうという話である。私は3か月に1度の割合で,そのお気に入りの寿司屋に行けるようにといろいろと作戦を練っているのである。

3 その店はにぎり寿司も美味しいが,名物料理として「つんつん巻」というのがある。私のお気に入りの料理で,行けば必ずそれを注文する。安くて美味しい。私は「つんつん巻」を楽しみにその店に行きたいと思っているような気さえする。それは細巻きの一種で,食べると名のとおり「つんつん」して,時に涙が出るのである。店の親父さんは,私が「つんつん巻」を頼むと,いつもそれを調理して私達の前に並べた後で,ニヤニヤしながら見守っている。そして「つんつん巻」の正体を知らない私の連れが,ガブッと食べて,「ヒッ!」と言うのを眺めて楽しんでいるのである。「つんつん巻」の正体は「わさびの葉っぱ巻」である。わさびの葉の漬け物なのであろうか。カッパ巻きのキュウリの代わりにわさびの葉を使用し,それに練ったわさびを添えるのであるが,店の親父さんは,私が客のときは添える練りわさびの量を少し多くして,連れの反応を見て面白がっている。「少しわさびを多くしておきました。」などと後で言って喜んでいるのである。

4 この店のおまかせのサシミも新鮮で美味しいし,安くて量も多い。酒の種類も豊富である。私はビール生ジョッキをお代わりした後,お気に入りの日本酒2合トックリの熱燗をお代わりすることにしている。

5 私は3か月に1度の割合で,その店に行く口実を作るのである。友あり遠方より来たる場合には,必ずそこへ連れて行っておごってあげるのを楽しみにしている。まるでクモが網を張って,獲物が懸かるのを待っているような気分である。適当な機会がないと,昔からの友人などを呼び出す。それもできない場合には妻と2人で行くのである。この程度の贅沢も人生を健康で頑張ることのご褒美として許されてよいということにしている。それを楽しみにセッセと稼ごうという程の金額でもない。しかし考えてみると,私は何だかんだと名目をつけて,結構あれこれのご褒美を自分に与える工夫に熱心であるような気がしないでもない。
以 上(H21・12)