● 弁護士任官どどいつ(4)
竹内 浩史(東京高裁) 
 「誤審正せば抗議を受けて誤審認めりゃ怒られる」

 10月16日、中日ファンとして格別に嬉しいプロ野球日本シリーズが始まった。しかし、いきなり第1戦でつまづいた。翌日のスポーツ新聞5紙の1面大見出しは「誤審」だった。5回裏の中日の攻撃1死1塁の場面で、打者タッチアウトの主審のジャッジを見落とした2塁塁審がフォースアウトと勘違いして走者をアウトとジャッジした。矛盾する後者を訂正したら、西武伊東監督の猛攻議で試合は49分間中断、審判が誤審を認めて謝罪した。潔いという評価と逆に、審判の権威を失墜したとの批判もある。裁判官としても考えさせられた。


 「鉄道会社の本拠地なのに終電気になる終盤戦」

 10月21日、台風で順延されたプロ野球日本シリーズ第4戦を西武ドームで観戦した。中日対西武の日本シリーズで駆け付けたのは22年ぶりだが、当時は屋根が無く、外野席は芝生だった。ドームになったが、外の風も通り、気持ちのいい球場だと思った。試合も中日が8対2で快勝し、気分良く帰路についた。しかし、疑問点もあった。9回は夜10時を過ぎ、終電が近い事を知らせる場内放送を聞いて、西武球場前駅に向かった観客が目立った。工夫すればこんな珍現象は回避できるのでは。ファンを大切にしなくちゃ。


 「ここの評議で判決すれば主文は『中日日本一』」

 10月24日、中日ファンの大観衆で埋まるナゴヤドームに東京から駆け付け、プロ野球日本シリーズ第6戦を観戦した。中日が3勝2敗で迎えた地元決戦。しかし、2対4で敗れ、50年ぶりの日本一を見ることはできなかった。それにしても落合監督のオレ流采配は見事だった。職場を良くし、「いい仕事」をするにはどうしたらいいのか、教えられた気がする。みんなプロなんだから。裁判所にも当てはまるのでは。町田最高裁長官の新任判事補に対する訓辞が「ヒラメ裁判官はいらない」と題して報道されたのを思い出した。


 「ブルーカラーが歴史を変えた日本シリーズ最終戦」

 10月25日、今年のプロ野球の激闘が終わった。中日は西武に敗れ、50年ぶりの日本一は成らなかった。しかし、美しい闘いだった。奇しくも、両方ともチームカラーは青。観客席も青一色に染まった。それにしても、一時は開催自体が危ぶまれたのに、選手たちは最後までよく頑張った。アメリカの大リーグの激闘も印象的だったが、日本のプロ野球選手たちも素晴らしい。野球協約の目的に「世界選手権を争う」とあるのを思い出した。いつの日か、大リーグのチャンピオンチームを打ち負かしてほしい。それがみんなの夢だから。