● 弁護士任官どどいつ(1)
竹内 浩史 (東京高裁) 
 弁護士だった私が裁判官に任官して一年余。両国国技館で大相撲夏場所を観戦した。相撲での裁判官役は、行司と審判の親方だが、いずれも力士と同様に部屋に所属していて、自分の部屋の力士の取組を裁く事もある。たとえれば非常勤裁判官が所属法律事務所の同僚弁護士の裁判を担当するような感じだが、行司は目の前でついた勝負の通りに軍配を上げるのみ。弁護士任官者も同様である。「公正らしさ」などと言われるまでもなく、私情を挟む事はない。七七七五の都々逸(どどいつ)にしてみた。

 「ひいき力士が、相撲に勝てぬ。行司は心を、鬼にする」