● 設立趣旨
1999年 9月18日
 ようこそ、日本裁判官ネットワークへ。

 本ネットワークは、開かれた司法の推進と司法機能の充実強化に寄与することを目的とする、現職の裁判官の団体です。

 本ネットワークの性格を一言でいいますと、「司法改革を目指す緩やかで開放的な裁判官団体」、ということができます。ここには、3つの基本要素が入っています。

 第1は、司法改革を指向することです。つまり、本ネットワークは、目的や存在意義を司法改革に置いています。規約では、改革の中身を「開かれた司法」「司法機能の充実強化」としています。これは、司法制度改革審議会の設置に代表される国民的要求に対し、裁判官の側から応えたいというものです。

 第2に、裁判官の自主性、自律性に基礎を置く、結びつきの緩やかな団体であることです。本ネットワークは、独立が保障された裁判官によるグループであり、個々の裁判官の知恵や活力を最大の存立基盤としています。そのため、規約は簡単なもので、メンバー裁判官の意思を拘束する決議・決定を一切行わず、活動への参加、本ネットワークからの脱退を自由とし、義務は会費納入の点だけにしています。もちろん、政治的、労働組合的性格は持ちません。イメージとしては、学会や市民団体に近い存在であります。

 第3に、今後開放的な活動を心がけることです。旧来の裁判官は、とかく裁判所部内に閉じこもりがちであったと考えられます。本ネットワークは、裁判官としての節度と控えめな姿勢は堅持しながらも、司法改革に関する意見の発表、関係機関等との意見交換、国際的裁判官団体との交流等、対外的な活動にも取り組んでいきます。対外的な活動により、様々な反応があろうかと思いますが、それにより私たち自身学ぶことが多いのではないかと考えています。
 手始めとして、昨日12人のメンバーによって、「裁判官は訴えるー私たちの大疑問」という本を出版しました。

 本ネットワークの準備には7年間を費やしています。この準備活動の内容は、別のページをご覧下さい。この間、実務的な改革を検討する一方、裁判所職員、弁護士、学者、学生、マスコミ、経済団体、市民団体、外国裁判官等様々な分野の方々と交流してきました。その中で、我が国の司法の弱点を、「閉ざされていること」「機能的に十分なものではないこと」と整理認識し、改善のためにどのような形態、内容の運動が必要なのか議論を重ねてきました。その結果が3つの基本を持つ本ネットワークなのであります。

 こうしたネットワークを、「最高裁と対決するグループ」などと位置づける方もおられると思います。しかし、それは誤りです。本ネットワークは、司法の将来像を真摯に考えている機関や個人とは、すべてにわたって建設的な対話を重ねていきたいと考えています。最高裁、法務省、弁護士会等とはもちろんのこと、可能なら司法制度改革審議会やその委員の方ともです。すでに最高裁には、本ネットワーク設立の趣旨と本の出版についてメンバー裁判官から説明する機会を持たせていただきました。

 こうしたネットの設立は、日本で初めてのことであり、私たち自身手探りの状態であることは否定できません。しかしながら、司法制度改革審議会の設置をはじめとして、各分野で司法に対する関心は徐々に高まりつつあるように思われます。そうした時期に、本ネットワークを立ち上げるのは機が熟したと考えられます。今後、様々な活動を通じて、司法の改革に貢献したいと願う一方、私たち自身が裁判官として成長していくことを国民の皆さんにお約束したいと思います。今後も、本ネットワークの活動にご理解をいただければ幸いです。

日本裁判官ネットワーク
コーディネーター  浅 見  宣 義
岡     文 夫
北 澤   貞 男
仲戸川  隆 人
宮 本   敦
安 原   浩
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